笑顔のようで色々あるなこの世は。映画『キツツキと雨』沖田修一監督作品レビュー・ネタバレあり

 

こんにちは、はるみ(@hal_no_umi)です。

今回は、新作『モリのいる場所』が公開中の沖田修一監督作品『キツツキと雨』をレビューしていきます。

 

何が面白いのか?を中心に書いていければと思うので、共感していただければ、ぜひ本作も新作も観ていただけると嬉しいです。

 

ちなみに、タイトルに引用したのは星野源さんが歌う主題歌の「フィルム」の最初の一節。

 

笑顔のようで 色々あるなこの世は
綺麗な景色 どこまでほんとか
フィルムのような 瞳の奥で僕らは
なくしたものを どこまで観ようか

作詞・作曲 星野源 「フィルム」より

 

この一節を映画の中で感じたので、タイトルに拝借しました。

では、映画の紹介から。

 

『キツツキと雨』作品紹介

 

こちらでは、作品についてざっくりご紹介します。

 

1文あらすじ

 

新人映画監督の小栗旬が田舎で役所広司と出会い、映画製作と出会いを通して成長する話。

 

詳細なあらすじは、僕もよくお世話になっているMIHOシネマさんが参考になりますよ。

映画の情報がよくまとまっているので、ぜひ覗いてみてください!

 

映画のあれこれ

 

  • 第24回東京国際映画祭にて、審査員特別賞。
  • キャッチコピーは「雨でも・・・きっと晴れるさ」
  • 「皆んなが一緒になってものをつくる楽しさ」が根本になっている。

 

『キツツキと雨』のおかしさ・面白さ

 

他の作品にも共通して言えますが、沖田監督作品にはほのぼのとした空間に存在する人のおかしさ・面白さが詰まっています。

 

キャラクターもとてもいきいきしていて、現実に存在するのかも、そうしたら会いたいなーって感じます。

 

すれ違い

 

ここで言うすれ違いは、物理的なものではなく、認識のすれ違い。

今作は、映画が専門分野の主人公・幸一とその分野からかけ離れている木こりの克彦という設定や、年の差などからくるすれ違いが非常に面白いです。

 

たとえば、あるシーンで幸一は自分用に用意された監督専用の椅子に座るのは恥ずかしいと克彦に言います。

 

ここでの恥ずかしいは、幸一の監督しての自信のなさから発せられたものです。

 

しかし、克彦は「椅子が格好悪い」と受け取ります。

 

その後のシーンで、切り倒した木?で作った「監督」という札がつけられた椅子を幸一が泊まっている宿まで持ってきます。

 

幸一は「なんで?」といったような表情を浮かべますが、克彦は「これなら恥ずかしゅうないやろう」といい真剣な眼差しで差し出してきます。

 

この1連の流れは、克彦の人間性がとても表現されていて、面白いです。

 

 

 

また、椅子には文字が刻まれており、その文字も含めてこの椅子は映画にとって重要な役割もしています。

 

他にも色々あって

 

  • ファーストシーンで、古舘寛治さん演じる助監督に対して「はい?」と聞き返すところ。
  • 撮影する川を探しているところ。
  • 幸一が「いまのOKですか」と聞くのに対して、克彦が「よーわからんけどよ。今の女優さんええ匂いやな」と返すところ。
  • 松の木どれですかのくだり。

 

などなど、たくさんすれ違います。ぜひ、お気に入りのすれ違いを見つけて欲しいです。

 

 

絶妙な長回し

 

ここで言う長回しは、カメラが固定のもので、フレームの中には2人のキャラクターがいる状態のショットの事です。

 

そんなショットが、今作にはいくつかあるのですが、特に好きで映画の中でも重要なシーンを絵に書いてみました。(※絶望的に下手です

 

 

絶妙っていう言葉が、ナンセンスかもしれませんが、絶妙なんですよね。

 

最適なフレーミングに、役者の動き・配置、そこから伝わる2人の距離感。

 

このシーンでは、食堂のおばちゃんが持ってくるあんみつが重要な役割をするんですが、どう重要なのかは実際に映画をご覧ください。

 

このショットは、風呂上がりに幸一と克彦が食事をしているシーンで使われていますが、このカットを含めて2カットで構成されています。

 

凄まじい数のカッティングをするハリウッドのアクション映画(トランスフォーマー)とかが大好きな方(僕も大好きなんですが)の中には、退屈だとか思われる方もいるかもしれません。

 

そう思われないためにも、会話のシーンで多くのカットを使ったり、ドリー(移動撮影)を使い動きをつけてみたりする映画もありますが、今作のこのようなカットからは役者への信頼感が伝わってきます。

 

上にあげた写真のショット以外にも、面白い長回しのショットがたくさん使われているので、ぜひお気に入りのショットを見つけて欲しいです!

 

 

映画の現場あるある

 

プロの現場はよくわからないのですが、僕も自主映画を制作していたことがあったので、これあるあるだなと思ったネタがいくつかありました。

 

  • 克彦が映画の撮影隊に振り回され、キレるシーン。僕もエキストラで協力してくれた方に怒られた経験があります。
  • 仕事ができず上の人に怒鳴られた助監督がドロップアウトしてしまう。経験はありませんが、現場が辛すぎて何も言わず逃げ出すスタッフがいるというのはよく聞きます。
  • 幸一が克彦に自分が書いた脚本の内容を話すシーンで、興味津々の様子で聞いてくれる克彦に「本当におもしろいんですか?」と聞きます。僕も経験あるのですが、書いているときは面白いと思ってても、あとあと面白くないんじゃないかと不安になることがよくありました。
  • 臼田あさ美さん演じる女優が自分の演技に対して「リアルならいいんですけど」というシーン。このセリフ実際に聞いてことがあるような気がします 笑

 

映画から感じる「笑顔のようで色々あるなこの世は」

 

この映画は幸一が映画監督として成長していく話であると同時に、克彦が父親としても成長していく話です。

 

克彦には、仕事をやめて実家に帰ってきている高良健吾演じる息子・浩一がいます。

漢字は違いますが同じ「こういち」であることから、小栗旬演じる幸一に自分の息子を重ねているのではないでしょうか。

 

それは、すれ違いのところで話した椅子に彫られている名前。

 

また絶妙な長回しのところで話した食事のシーンで、幸一が映画監督を目指したきっかけを話しますが、それに対して「お父さんを嬉しかっただろうなー」というようなことを言うところに見て取れます。

 

そして、妻の3回忌のシーンでおじさんたちに「こいつの気持ちもあるやろが!」と怒鳴りつけるところで、父親として浩一の気持ちを理解しようとする姿勢を見せています。

 

このようなことから、幸一にも克彦にも浩一にとっても、色々あるなこの世はなんですね。

 

さいごに

 

今回は、新作が公開されるということで『キツツキと雨』を紹介しました。

 

ぜひ、この作品も新作も見ていただければ嬉しいです。

 

はやく、新作みたいな〜。では

 

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